
双極性障害って聞いたことはあるけど、うつ病と具体的に何が違うんだろ?
今回、このような疑問をお持ちの方にむけて、似ているようで似ていない双極性障害とうつ病の違いについて解説させていただきます。
双極性障害とうつ病の大きな違い

双極性障害とうつ病の大きな違いは、躁状態があるかないかです。
うつ病には躁状態がありませんが、双極性障害にはあります。
躁状態とは、ハイテンションで活動的な状態のことです。
眠らなくても活発に活動する、次々にアイデアが浮かぶ、自分が偉大な人間だと感じられる、大きな買い物やギャンブルなどで散財するといった症状があります。
双極性障害は、うつ病の一種と誤解されがちですが、実はこの二つは異なる病気で治療も異なります。
しかし、双極性障害のうつ状態が、うつ病のうつ状態の症状とほとんど変わらないので、本当は双極性障害なのにうつ病と誤診されることも多いようです。
躁状態のときは、自分が病気と自覚していないので病院に行かないことがほとんどです。
以下、双極性障害とうつ病それぞれについて詳しく解説していきます。
双極性障害について

症状
躁鬱病とも呼ばれていて、ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返す病気です。
躁状態になると、眠らなくても活発に活動する、次々にアイデアが浮かぶ、自分が偉大な人間だと感じられる、大きな買い物やギャンブルなどで散財するといったことがみられます。
うつ状態は、うつ病のものと大差はありません。
うつ状態では、気分が落ち込んで辛いので自覚はありますが、躁状態ではとても気分がよいので本人に病気の自覚がないこともあります。
発症原因
発症の原因はまだ完全には解明されていないのですが、さまざまな仮説があります。
- 細胞内ミトコンドリアの働きの障害
- 細胞内情報伝達系の中で重要な働きをしているカルシウムが変化している
- ドーパミンなど、脳全体を幅広く調節している神経伝達物質が変化している
などがあります。
発症頻度
日本では、重症・軽症の双極性障害をあわせて0.4~0.7%といわれています。
1,000人に4~7人弱ということで、これは100人に10人弱といわれるうつ病に比べると頻度は少ないです。
治療方法
躁状態の時と抑うつ状態の時と症状が安定している維持期において治療法に違いがあります。
主に用いる薬は、気分安定薬や非定型抗精神病薬となりますが、症状が多様な双極性障害は特に薬の使い分けが難しく、主治医によく相談して治療を受ける必要があります。
そのほか、薬物療法と併用しての心理社会的治療があります。
本人が自分の病気を知り、それを受け入れ、自ら病気をコントロールすることを援助する心理教育と言われるものです。
うつ病について

症状
症状は人によってさまざまですが、代表的なものは一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状があります。
発症原因
正確にはよくわかっていませんが、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。
うつ病の背景には、精神的ストレスや身体的ストレスなどが指摘されることが多いです。
辛い体験や悲しい出来事のみならず、結婚や進学、就職、引越しなどといった嬉しい出来事の後にも発症することがあります。
発症頻度
日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があり、ポピュラーな病気です。
また、女性の方が男性よりも1.6倍くらい多いことが知られています。
治療方法
まず心身の休養がしっかりとれるように環境を整えることです。
職場や学校から離れ自宅で過ごす、場合によっては、入院環境へ身を委ねることにより、大きく症状が軽減することもあります。
環境を整えるとともに、抗うつ薬を服用することも重要です。
また、うつ病では様々な身体の症状も現れるので、その症状に応じた治療薬を併用することもあります。
その他に、認知行動療法や対人関係療法などのより専門的な治療法もあります。
まとめ
双極性障害とうつ病は、うつ状態になるという面では同じですが、発症原因や治療法が異なる病気です。
それぞれの病気についての理解が少しでも広まればと思い記事にさせていただきました。
ご覧いただきありがとうございました。
参考URL
・厚生労働省みんなのメンタルヘルス
コメント